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付録CDから「理想の教材」を作っちゃおう!


最近のイタリア語学習書籍の多くにはヒアリング練習用のCDが付録として付いています。初心者向けを標榜している書籍に限れば、むしろ付録CDの付いていないものの方が珍しいかも。中谷はそういったイタリア語学習書を結構たくさん買っているので、「イタリア語の付録CD」だけで15,6枚持ってたりします。

それだけ聴いたのなら、さぞかしイタリア語も上達しているんだろうって? いえいえそれがお恥ずかし悲しいことに、手に入れてしばらくは何回か聴いてはみるのですが、じきに全く触らなくなってしまい、一向に上達しておりませぬのです。「積ん読」ならぬ「積ん聴」ですにゃー。

原因は簡単。「聞いてもわからない」から飽きちゃうのです。

いやいや、ちょっと待てー! 聞いてもわからないから勉強のために聴くんじゃないのか!?

お説、ごもっとも。でもね、テキストと首っ引きでCDを聴くだなんて、なかなか毎日はできないものです。するってえと流し聞きをするわけですが、途端に何を言っているのか全くわからない。たま〜に、ふと耳に引っかかった表現があったとしても、注意を耳に戻したときにはもう次の文章に移ってしまっているのです。同じ文章を何回もしゃべってくれればいいのに……

そうか、ひらめいた! 同じ文章を何回もしゃべってくれる教材を自分で作ればいいんじゃないか!


素材となるCDは、なんらかのイタリア語書籍の付録から手に入れてください。ま、イタリア語学習者ならたいがい少なくとも1枚くらいならすでに持っていることでしょう。

そうそう、もちろんイタリア語に限らず、英語、フランス語、ドイツ語、中国語、韓国語、ロシア語、アラビア語、エスペラント語などなどなど……どんな言語でも応用の利く方法ですよ!

このCDに例えば次のような例文が吹き込まれているとしましょう。

A: Buon giorno! Come vai?
B: Bion giorno. Bene, grazie. E tu?
A: Anch'io bene. Che cosa fai?
B: Aspetto la mia ragazza. E` in ritardo...

え? ここまで簡単な例文だったら、小細工しなくても聞き取れるよって? えーと、あんまり難しい例文を考えるイタリア語力がないんで、勘弁してやってください(汗)。

この記事の目標は、ここから次のような「教材」を作っちゃうことです。

A: Buon giorno! Come vai?
A: Buon giorno! Come vai?
A: Buon giorno! Come vai?
A: Buon giorno! Come vai?
A: Buon giorno! Come vai?
B: Bion giorno. Bene, grazie. E tu?
B: Bion giorno. Bene, grazie. E tu?
B: Bion giorno. Bene, grazie. E tu?
     :
B: Aspetto la mia ragazza. E` in ritardo...
B: Aspetto la mia ragazza. E` in ritardo...


では、早速その作り方です。

【1】まずはCDの音声データをコンピュータに取り込んで、扱えるようにしなくてはなりません。取り込むための方法やフォーマットはいろいろありますが、現在もっともポピュラーな MP3 で取り込むことにします。

取り込む方法はいろいろあるのですが、この記事は MP3 を扱うことが目的ではないので、以下の2つのソフト(いずれもフリーウェア)を紹介するにとどめます。

まず CD2WAV でCDの音声を WAV という形式で取り込み、SCMPX で MP3 形式に変換できます。それぞれのソフトの使い方などは、ソフトの説明書はサポートページをご参照ください。

いまいちわからない場合は、「CDを MP3 形式で取り込める!」といううたい文句のある市販ソフトを使うのが間違いがなく、楽ちんです。

ちょっと前までは CD2WAV と連動して、実に簡単かつ高速に MP3 ファイルを作れるソフトが公開されていたのですが、MP3 変換プログラムのライセンス問題が勃発、そのソフト(の実行形式)を含むいくつもの MP3 関連プログラムが公開を取りやめ てしまいました。個人的には少々残念。

なお、こうやって作りました MP3 ファイルの著作権は、もともとのCDを作成した出版社にありますので、その利用は個人の趣味や学習の範囲にとどめるようにしてください。

【2】続いて、もし RealPlayer をインストールしていなかったら、インストールしておきましょう。

最近のパソコンだと、RealPlayer はだいたいいつのまにか入っていて、一説によると普及率は9割を超えているそうですから、まあたいがい大丈夫でしょ。

【3】さあ、それではいよいよお待ちかね。"SMIL" のファイルを作りましょう!

"SMIL"(スマイル)とは、難し〜〜く言えば「 "Synchronized Multimedia Integration Language" の略で、マルチメディアコンテンツを統合するマークアップ言語。XML 規格の一つ」なのですが( Flash がわかる人には「テキスト版の Flash」というとピンと来るかも)、そーゆーややこしい話はここでは関係ありません。

肝心なのは、"SMIL" を使えば「音声ファイルの何秒目から何秒目を再生」という命令をテキストで書いて Real Player で再生できてしまうってことです。

例として、CDのトラック1を "track1.mp3" という MP3 ファイルに変換し、またそのトラック1の 10.5秒から 14.0秒までがテキストの1行目、14.2秒から 17.0秒までが2行目……という場合を考えます。

このとき、テキストエディタにて次のようなファイルを作り、"track1.mp3" があるのと同じフォルダに "kyozai.smi" というファイル名で保存( xml 宣言などはあったほうがいいのでしょうが、なくても動くので省略)。

拡張子の "smi" はもちろん "SMIL" のことですね。

<smil>
<body>

<audio clip-begin="10.5s" clip-end="14.0s" src="track1.mp3" />
<audio clip-begin="10.5s" clip-end="14.0s" src="track1.mp3" />
<audio clip-begin="10.5s" clip-end="14.0s" src="track1.mp3" />
<audio clip-begin="10.5s" clip-end="14.0s" src="track1.mp3" />
<audio clip-begin="10.5s" clip-end="14.0s" src="track1.mp3" />

<audio clip-begin="14.2s" clip-end="17.0s" src="track1.mp3" />
<audio clip-begin="14.2s" clip-end="17.0s" src="track1.mp3" />
        【中略】
<audio clip-begin="23.7s" clip-end="26.1s" src="track1.mp3" />
<audio clip-begin="23.7s" clip-end="26.1s" src="track1.mp3" />
</body>
</smil>

後はその "kyozai.smi" をダブルクリックすれば、1行目を5回、2行目を5回、……と唱えてくれる『理想の教材』がそこに現れるのです。素晴らしい!

この <audio ...> という命令は次のような文法になっています。

<audio clip-begin="開始位置" clip-end="終了位置" src="再生するファイル名" />

簡単ですね!

開始・終了位置は細かい細かい指定も可能なのですが、実用上は10分の1秒単位まで指定すれば十分でしょう。

そして5回繰り返したければ、この <audio ...> 命令をコピーして5つ並べればOK!(本当は SMIL には repeat という繰り返し用のパラメータもあるのだが、RealPlayer ではなぜかうまく動いてくれなかったのだ。残念)

【4】さて、ここまでで必要なことは基本的に説明が済んでいますので、自由に SMIL を作り始めてもらっていいのですが、やはり開始・終了位置の指定が面倒くさそうなので、なんとかしたい気がします。

まず一番に思いつくやり方としては、音声ファイルを聴きながら行の区切りが何秒目かをメモしていき、それをもとに SMIL のファイルを作っていくという方法。

でもこんなやり方だと、音声の開始・終了位置を最初からぴったりあってることなんてほとんどないでしょうから、聴きながらさらに微調整していくことになります。もちろん出来ない話ではありませんが、なんかもうちょっとスマートなやり方が欲しいですね。

そこで! 音声ファイルの波形エディタソフトを使いましょう!!

この spwave をインストールし、音声ファイルを読み込ませると、次のような画面になります(横方向の倍率は、spwave の「拡大」機能をつかって引き伸ばしてあります)。

ほら、これなら音声がどこからどこまで入っているか、一目瞭然でしょ?

そしてこのソフトは、マウスカーソルの位置が何秒目なのか、かなり細かいところまで表示してくれます。例えば、1行目の始まる直前にマウスカーソルを持っていくと "10.843...s" と表示されましたので、1行目の開始位置( clip-begin の値)は "10.8s" で良いことがわかります。

あれれ、そこよりも前にも音声の入っている部分があるじゃないかー、って? 実はここは日本語による説明部分だったりします。こればっかりは聴かないとわかんないねー。

そういう場合のために! このソフトは聞きたいところをマウスでドラッグして反転し再生ボタンを押すことで、その部分だけを再生することが出来ます。これで本当にこの場所で文章が切れているかも確認OK!!

なお、この spwave。音声ファイルから狙った部分だけ切り出して別の音声ファイルとして保存する機能がありますので(というか、そっちのほうが本来の使い方)、行ごとに別々の音声ファイルとして出力することも出来ます。

でも結局その次に「1行目を5回繰り返して、2行目を5回繰り返して……」という制御がやっぱり必要で、それならいっそ SMIL で書いたほうが応用がききますよね。

SMIL にはここにあげた以外にもいろんな機能があって、インタラクティブな仕掛けとか作りこむことも出来てしまいます。そのあたりを駆使して、本当に「教材ソフト」にまで仕上げてしまうというのも楽しそうですよね。

うむむ、どこぞの出版社にでも売り込みに行こうかしらん(笑)。



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